2020年07月05日

糖質が体内に入ってこなければすい臓が元気になる

糖質をとるたび、何度も何度も大量のインスリンを分泌し続けるような食生活を何十年と続けていると、すい臓が疲れてしまいます。


すい臓が疲れてしまうと、インスリンの分泌量が低下したり、タイミングが遅れたりします。これを「インスリン分泌能低下」と呼びます。ただし、すい臓が疲れて、くたくたになっても私たちの体に自覚症状がなかなかあらわれません。
糖質

この段階から食後の高血糖が現われ始め、糖尿病予備軍として糖尿病へと続く階段を上っていくことになります。高血糖が続く状態でさらに肥満などがあるとインスリンの効き目が弱くなります。


これを「インスリン抵抗性」と呼びます。糖尿病の高血糖は、インスリン分泌能低下とインスリン抵抗性のふたつの症状が合わさって引き起こされます。いったん180mg/dl以上の高血糖になると、筋肉細胞や脂肪細胞が血糖をうまくとり込めなくなり、インスリン抵抗性が増大します。そして高血糖そのものがすい臓のベータ細胞を傷害してインスリン分泌能が低下します。


こうなると高血糖が高血糖を呼ぷ状態です。これらの悪循環を「糖毒」と呼びます。糖毒の悪循環をどこかで断ち切らないかぎり、血糖値のコントロールができなくなります。このような悪循環を生み出さないためにも、糖質オフは効果的なのです。


インスリン分泌能低下は、すい臓が疲れ果ててしまうのが原因です。糖質が入ってこなければインスリンが大量に分泌される必要がほとんどないので、すい臓は休息に入ることができます。そして、ふたたび元気に働いてくれるようになるのです。




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糖尿病の合併症を防ぐには糖質を断つしかない

「メタポリックシンドローム」という言葉は、みなさんも聞いたことがあると思います。では、その意味を説明することはできるでしょうか?


メタポリックシンドロームとは、お腹に内臓脂肪がたまったタイプの肥満をペースとしながら高血糖や高血圧、胎巽異常症といった病態が重なった状態をいいます。これらは互いに関連して悪化していき、糖尿病との関連も高いのが特徴です。

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内臓脂肪とは腸の周りにたまった脂肪のこと。脂肪は人間のからだにとってメインエネルギーなのですが、この内威服肪はそれ以外にも血圧を上げるホルモンやインスリンの効き目を弱めるホルモンを出してしまいます。結果として動脈硬化が進み、糖尿病をはじめとするさまざまな生活習慣病の引き金となってしまうのです。糖尿病になり高血糖状態が続くと、そのうちさまざまな病気が現われてきます。


これを「合併症」といいます。糖尿病の合併症について詳細はこちら。糖尿病という病気が血糖値やヘモグロビンA1Cを正常領域でコントロールできない場合、非常に怖い合併症(失明、透析、足切断)などの大きなリスクを背負うことになる可能性大だとわかります。また、こうした合併症は、かなり進行した時点で自覚症状がでるので、自覚症状がでてからでは「時、既に遅し」で手遅れ状態になってしまうのです。これは、もし糖尿病と診断された人がどうやって自分の病気を意識して、生活習慣、食習慣、考え方を変えられるかがとても重要です。


直接命に関わってくるのが「大血管症」。動脈硬化によって太い血管が狭くなるものです。心臓をとり巻く冠動脈で起こるものに狭心症や心筋梗塞があり、脳の血管で起こる病気に脳梗塞や脳出血があります。


また、足の動脈が狭くなったり詰まったりすれば、歩行も困難になつてきます。これらは高血糖状態だけが原因ではなく、高血圧や高脂血症、さらにダイレクトに動脈硬化をうながす喫煙も引き金となります。


糖尿病に特有の合併症としては、細い血管に起きる「細小血管症」があります。とくに注意を要するものとしては糖尿病神経障害・糖尿病網膜症・糖尿病腎症があり、これらは「3大合併症」と呼ばれています。


糖尿病神経障害は当初は痛みますが、進行すると感覚がなくなり、外傷に気づきにくくなります。糖尿病網膜症は最悪の場合、失明してしまいます。足の爪をほんのわずか深爪しただけでもその化膿部分が足を切断しなければいけない状態まで悪化してしまうこともあるのです。


また、糖尿病腎症は悪化すれば腎不全になり、人工透析をしなければならなくなります。こうした合併症はゆっくり進行していきます。その進行を食い止めるには、糖質を制限するしかありません。糖質オフ健康法は合併症が初期のうちなら、正常に戻すことも可能です。糖尿病と診断されてもこれまでと変わらない生活をしているのなら今スグに考え方、糖尿病との向き合い方を変えなくては大変なのことになります。糖質制限食の特徴は、ごはん、パン、うどんなどの炭水化物は制限されますが、肉、魚、油などは制限がありません。もしどうしても主食がほしい場合には、低糖質パンなどを食べるようにします。低糖質パンなら通常のパンに比べて糖質が減らしてあるので、急激に血糖値が上昇するのを防ぐことができます。

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2020年07月04日

血管を痛めつけてしまうグルコーススパイクの脅威

糖質をとると、食後すくに血糖値が急上昇します。この現象は「食後高血糖」と呼ばれています。空腹時の血糖値と食後の血糖値の差が大きい高血糖状態のことを「グルコーススパイク」といいますが、その差が開くほど血管は激しく傷つけられてしまいます。こうして血管が傷つけられることによって起こるのが合併症です。
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糖尿病ではない正常な人であっても、小さなグルコーススパイクは起きています。専門家はこれを「グルコースミニスパイク」と名づけています。あまり聞いたことがないかもしれません。


それにしても、なぜ「スパイク」と名付けられているのでしょうか? 糖質の変化を見たとき、肉を食べた時はほとんど変化がありませんが、白米(糖質を食べると1時間のうちに血糖値の急激な上昇が起きています。この急激な血糖値の上昇がグラフに鋭角の山をつくるので、「スパイク(とがったもの)」と名付けられているのです。


血糖値は糖質をとったあと約1時間が非常に高く、その後下がります。しかし、下がったところで糖質をとるとまた急激に上がります。


この山が1日に何回も起こるたびに、血管に負担がかかっているのです。「いかにこの山のグラフをなだらかにするか」が健康のポイントなのです。グルコーススパイクは白いパンや白米など、精製された炭水化物からつくられたものを食べることでとくに生じやすくなります。


玄米だと消化が比較的ゆっくりであるため、ミニスパイクは生じにくいといえます。こうした理由から、糖質オフ健康法では精製された炭水化物をできるだけ避けるようにしているわけです。玄米は、食物繊維が豊富ですからこの食物繊維が血糖値の上昇を抑制してくれるのです。


食後に血糖値が上がることがなぜ怖いのでしょうか? まず第一に、命に関わる動脈硬化をうながす点が挙げられます。

高血糖により血管の内皮に炎症が起こり傷が生じます。この傷にコレステロールが張り付いて傷を修復しますが、くり返すと分厚く盛り上がり、狭くなったり硬くなったりします。


その結果として動脈硬化が生じます。コレステロールがたまっていくと、血流が滞ってしまい、血栓で血管が詰まることもあります。それが心臓の血管で起こると心筋梗塞、脳の血管で起こると脳梗塞というわけです。


動脈硬化はすぐに起きるわけではありません。10年、30年と食後高血糖を続けていくうちに、そのリスクがだんだん高まっていきます。動脈硬化がすぐに起こらないとしても、そこに至るまでにさまざまな悪影響がからだにもたらうれます。


血糖値を下げるためインスリンの大王分泌が毎日のように年余にわたりくり返されると、すい臓のベータ細胞はじょじょに疲弊していきます。しまいにはベータ細胞は壊れてしまい、インスリンが分泌できなくなります(インスリン分泌能低下)。


さらに、年余にわたる肥満ホルモンの分泌で、メタポリックシンドロームや肥満になっているヒインスリンの効き目も弱くなってしまうのです(インスリン抵抗性)。


インスリン分泌能低下とインスリン抵抗性が合わさって糖尿病を発症します。日本人の糖尿病は、インスリン分泌能低下が主で、インスリン抵抗性は従です。発症時の平均BMI(肥満指数) は24で、肥満一歩手前です。欧米人の糖尿病は、インスリン抵抗性が主で、インスリン分泌能低下が従です。発症時の平均BMIは32 で朋立派な肥満です。同じ2型糖尿病でも、日本人と欧米人は違うのです。

posted by ダイエットマニア at 10:23 | Comment(0) | 医学的視点で見る糖質制限食