糖質をとると、食後すくに血糖値が急上昇します。この現象は「食後高血糖」と呼ばれています。空腹時の血糖値と食後の血糖値の差が大きい高血糖状態のことを「グルコーススパイク」といいますが、その差が開くほど血管は激しく傷つけられてしまいます。こうして血管が傷つけられることによって起こるのが合併症です。
糖尿病ではない正常な人であっても、小さなグルコーススパイクは起きています。専門家はこれを「グルコースミニスパイク」と名づけています。あまり聞いたことがないかもしれません。
それにしても、なぜ「スパイク」と名付けられているのでしょうか? 糖質の変化を見たとき、肉を食べた時はほとんど変化がありませんが、白米(糖質を食べると1時間のうちに血糖値の急激な上昇が起きています。この急激な血糖値の上昇がグラフに鋭角の山をつくるので、「スパイク(とがったもの)」と名付けられているのです。
血糖値は糖質をとったあと約1時間が非常に高く、その後下がります。しかし、下がったところで糖質をとるとまた急激に上がります。
この山が1日に何回も起こるたびに、血管に負担がかかっているのです。「いかにこの山のグラフをなだらかにするか」が健康のポイントなのです。グルコーススパイクは白いパンや白米など、精製された炭水化物からつくられたものを食べることでとくに生じやすくなります。
玄米だと消化が比較的ゆっくりであるため、ミニスパイクは生じにくいといえます。こうした理由から、糖質オフ健康法では精製された炭水化物をできるだけ避けるようにしているわけです。玄米は、食物繊維が豊富ですからこの食物繊維が血糖値の上昇を抑制してくれるのです。
食後に血糖値が上がることがなぜ怖いのでしょうか? まず第一に、命に関わる動脈硬化をうながす点が挙げられます。
高血糖により血管の内皮に炎症が起こり傷が生じます。この傷にコレステロールが張り付いて傷を修復しますが、くり返すと分厚く盛り上がり、狭くなったり硬くなったりします。
その結果として動脈硬化が生じます。コレステロールがたまっていくと、血流が滞ってしまい、血栓で血管が詰まることもあります。それが心臓の血管で起こると心筋梗塞、脳の血管で起こると脳梗塞というわけです。
動脈硬化はすぐに起きるわけではありません。10年、30年と食後高血糖を続けていくうちに、そのリスクがだんだん高まっていきます。動脈硬化がすぐに起こらないとしても、そこに至るまでにさまざまな悪影響がからだにもたらうれます。
血糖値を下げるためインスリンの大王分泌が毎日のように年余にわたりくり返されると、すい臓のベータ細胞はじょじょに疲弊していきます。しまいにはベータ細胞は壊れてしまい、インスリンが分泌できなくなります(インスリン分泌能低下)。
さらに、年余にわたる肥満ホルモンの分泌で、メタポリックシンドロームや肥満になっているヒインスリンの効き目も弱くなってしまうのです(インスリン抵抗性)。
インスリン分泌能低下とインスリン抵抗性が合わさって糖尿病を発症します。日本人の糖尿病は、インスリン分泌能低下が主で、インスリン抵抗性は従です。発症時の平均BMI(肥満指数) は24で、肥満一歩手前です。欧米人の糖尿病は、インスリン抵抗性が主で、インスリン分泌能低下が従です。発症時の平均BMIは32 で朋立派な肥満です。同じ2型糖尿病でも、日本人と欧米人は違うのです。
posted by ダイエットマニア at 10:23
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医学的視点で見る糖質制限食